第1話 出会いの教室
虹空小学校の2年2組に、転校生がやって来た。
「尾崎ミカンです。よろしくお願いします」
転校生の少女は、明るい声で挨拶した。品の良い佇まいで、それでいて朗らかさを感じる少女の雰囲気に、クラスの子供達は思わず目を見張った。
「尾崎さんの席は、春井明花さんの隣ね。あの窓際の一番後ろの席よ」
担任の教師が優しく言うと、ミカンは「はい」と静かかつ軽やかな足取りでその席へ歩いていった。
「よろしくね、春井さん」
ミカンがにこやかに挨拶すると、明花もにこっと笑いかけた。
「明花でいいよ。よろしくね、ミカンちゃん。わからないことはなんでも聞いてね」
「ありがとう、明花ちゃん!」
あっという間に二人は、友達になれた。
休み時間、ミカンの周りにわらわら生徒が集まってきた。
「ねえねえ、尾崎さんってどこ小から来たの?」
生徒の一人がミカンに尋ねた。
「学習院初等科よ」
すると、全員が静まり返った。その後、「ええーっ?!」と異口同音で叫んだ。
あの皇族も通うと言われている、学習院からこんなどこにでもある小学校に?!
「ミカンちゃんて、お金持ちなの……?」
明花がおそるおそるという風に尋ねると、ミカンは謙遜して首を横に振った。
「なんだお前、そんなに金持ちなのかよ?」
金髪で身なりのいい少年が、いばったようにミカンにズイッと近付いた。ミカンはそれに少し驚いて固まった。
「だがお前がいくら大金持ちでも、この金沼友也様にはかなわないだろうがな。ちょっとちやほやされたからって図に乗るなよ」
「金沼……ちょもや?」
「金沼友也だ!! どんな耳してるんだ!!」
友也が思いっきりわめきたてた。顔は真っ赤になっている。女子達がクスクスと笑い出した。
「ごめんねミカン、あいつミカンの気を引きたくて必死なんだろうね。俺は真也、友也の双子の兄だよ。よろしく」
黒髪だが友也と顔は同じの、身なりのいい少年がミカンに手を差し出して握手を求めた。
ミカンもそれに応じて握手を交わした。
「だっ、誰が気を引きたいもんか!! 僕以上の金持ちが現れたのが気にくわないだけだ!! 覚えておけ、尾崎ミカン!!真也が優しくしたからって調子に乗るなよ!! ふん!! 柑橘系みたいな名前しやがって!!」
それだけ真っ赤な顔で叫ぶと、友也はずかずかと教室から出ていってしまった。
それを真也は苦笑いを浮かべ、明花はあきれたような顔で見ていた。
「変なの。あんなきょどーふしんな友也君初めて見た。友也君、ほんとはミカンちゃんと友達になりたいんじゃない?」
明花が小首を傾げながら言った。
「そうなのかな……」
変なの、と呟くミカンだった。
「尾崎ミカンです。よろしくお願いします」
転校生の少女は、明るい声で挨拶した。品の良い佇まいで、それでいて朗らかさを感じる少女の雰囲気に、クラスの子供達は思わず目を見張った。
「尾崎さんの席は、春井明花さんの隣ね。あの窓際の一番後ろの席よ」
担任の教師が優しく言うと、ミカンは「はい」と静かかつ軽やかな足取りでその席へ歩いていった。
「よろしくね、春井さん」
ミカンがにこやかに挨拶すると、明花もにこっと笑いかけた。
「明花でいいよ。よろしくね、ミカンちゃん。わからないことはなんでも聞いてね」
「ありがとう、明花ちゃん!」
あっという間に二人は、友達になれた。
休み時間、ミカンの周りにわらわら生徒が集まってきた。
「ねえねえ、尾崎さんってどこ小から来たの?」
生徒の一人がミカンに尋ねた。
「学習院初等科よ」
すると、全員が静まり返った。その後、「ええーっ?!」と異口同音で叫んだ。
あの皇族も通うと言われている、学習院からこんなどこにでもある小学校に?!
「ミカンちゃんて、お金持ちなの……?」
明花がおそるおそるという風に尋ねると、ミカンは謙遜して首を横に振った。
「なんだお前、そんなに金持ちなのかよ?」
金髪で身なりのいい少年が、いばったようにミカンにズイッと近付いた。ミカンはそれに少し驚いて固まった。
「だがお前がいくら大金持ちでも、この金沼友也様にはかなわないだろうがな。ちょっとちやほやされたからって図に乗るなよ」
「金沼……ちょもや?」
「金沼友也だ!! どんな耳してるんだ!!」
友也が思いっきりわめきたてた。顔は真っ赤になっている。女子達がクスクスと笑い出した。
「ごめんねミカン、あいつミカンの気を引きたくて必死なんだろうね。俺は真也、友也の双子の兄だよ。よろしく」
黒髪だが友也と顔は同じの、身なりのいい少年がミカンに手を差し出して握手を求めた。
ミカンもそれに応じて握手を交わした。
「だっ、誰が気を引きたいもんか!! 僕以上の金持ちが現れたのが気にくわないだけだ!! 覚えておけ、尾崎ミカン!!真也が優しくしたからって調子に乗るなよ!! ふん!! 柑橘系みたいな名前しやがって!!」
それだけ真っ赤な顔で叫ぶと、友也はずかずかと教室から出ていってしまった。
それを真也は苦笑いを浮かべ、明花はあきれたような顔で見ていた。
「変なの。あんなきょどーふしんな友也君初めて見た。友也君、ほんとはミカンちゃんと友達になりたいんじゃない?」
明花が小首を傾げながら言った。
「そうなのかな……」
変なの、と呟くミカンだった。
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