第1章 真の剣

「おーい、お姫様?おーい。」

セーラ姫の頬をペチペチと叩き、肩を揺するウェッジ。

無礼にもほどがある。

ウェッジに叩かれ揺すられ、セーラ姫は目を覚ました。

「あなたがたが…助けてくれたのですね…?
私は、コーネリア国の王女セーラ…。感謝の言葉もありません。
あのガーランドに打ち勝った者は初めてです…。
ぜひ、お礼をさせて下さい。共にコーネリア城へおいで下さい。」

(ぼくは何もしてないですけどね…。)
(オレもだな。)

ルカとウェッジは目と目でだけ会話した。




「よくぞ王女を助け出してくれた…。」

セーラ姫と共にコーネリア城の玉座の間へ行くと、王様は安堵したような嬉しそうな表情を見せた。

「よければ…ずっとコーネリアで…
いえ…、なんでもありません。」

セーラ姫の目は、明らかにローラを見ていた。

そんなセーラ姫にローラは、柔らかく微笑んだ。

「ありがとうございます。この世界を覆う暗雲を晴らし、全てが終わったら…、必ずまたこのコーネリアに帰って参ります。」

「おーおー、見せつけてくれるねぇ」

ウェッジがニヤリとした。

「是非とも帰って来るがよい!そうしたら、このコーネリアの国王の座を譲ろうぞ!強く優しいそなたなら、このわしより国王に相応しかろう。」

「ええっ!」

「良かったな、スピード出世だ。」

驚くローラの肩を、ポンとククロが叩く。

「赤い装束の若者だけでなく、他の三人もぜひ帰って来なさい。このコーネリア城で共に暮らそうぞ。」

「まあ!それがいいですわ!」

「ぼくたちも、ですか?」
「まあいーんじゃねーの?行くとこもねーし。」
「それは良い。いつまでもローラの幸せな様子を見れるなら…。」

ルカもウェッジもククロも満足そうだ。


こうして、四人の戦士は旅立った。
待ち受ける波乱の運命さえ知らないまま…。
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