第13章 ウェッジの怒り

翌朝になると、ルカはすっかり元気になっていたので一行は宿を発った。

それでも、一応病み上がりゆえルカはローラに抱っこされているが。

「ごめんなさいです、せっかくアルテマの封じられた神殿を目指そうっていうお話だったところをぼくのせいで足止めさせてしまって…」

ルカは倒れたことを気にしているようだ。

「気にやむな。神殿は逃げない」

ククロが短く言った。

「ルカの体が一番大事だよ」

ローラが優しく言った。

「そーそー、それにルカがいないとチームになんねーし!」

ウェッジは笑顔で言った。

仲間達の優しさが、ルカはとても嬉しかった。


「あれっ?ローラ君達じゃないか」


にこやかに声をかけてきたのは、クソファザーもといルーラだ。

「………どうしてこの町にいるんですか?」

ローラは不愉快だと言わんばかりの顔をした。

「たまたまこの町に用があったんだよ。まさか会えるとはね」

「ろくでなし親父のくせにローラにつきまとうな」

ウェッジが冷たく言い放った。

それに対して、ルーラはこう言い返した。

「き、君の親だって僕の事言えた義理じゃないんじゃないかい?子供を盗賊にさせてしまうような親だなんて…」

この言葉を聞いて、ウェッジは完全にキレた。

「はあ?」

ウェッジは、自然とどすのきいた声が出ていた。

これにはさすがのルーラも怯んだ。

「てめえ馬鹿にしてんのか?!物心つく前に親に捨てられた身であるオレ自身と、例え盗賊でもオレを拾って育ててくれた世界一大事な義理の父であるお頭両方をよ!」

ウェッジは早口で怒鳴った。

「盗賊=悪な物言いだけど、オレにとっちゃお前のほうがよっぽど悪に見えらぁ!お前はローラを捨てたけど、お頭はオレを忘れてどこかに置いてったりなんてぜってぇしなかった!それにお頭は、オレを拾った後、盗賊になるかならないかちゃんと話し合いを持ちかけてたんだ!!そんなお頭の仕事を手伝いたかったから、盗賊にはオレの意思でなったんだ!お前にしのごの言われる筋合いはねぇ!余計なお世話なんだよ!!」

そして、怒りを乗せて畳み込む。

「よく覚えとけ。オレが世界で一番嫌いなのは、あんたみたいな子供を捨てる親なんだよ!!今さらローラに父親ヅラすんな!あんたの薄汚ねぇ顔なんか見たくもねえ!!穢らわしい!!消えろ!!二度とオレらの前に姿現すな!!」

ここまで言われては、ルーラも怯んで何も言えなかった。

そのままウェッジは一番先に踵を返して、ルーラを残して四人その場から立ち去った。


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