第12章 切なる思い
そんなある日の事だった。
(神様、どうかローラ兄様にもう1度会わせて下さい……ローラ兄様、どうか生きていて……元気でいますように……)
十字架の前でギードが祈りを捧げていると、外から何やら会話する声が聞こえてきた。
この声には聞き覚えがある。
この声は………
(げっ!クソファザー?!)
あの忌まわしきルーラと、敬愛するエクセン神父の話している声だ。
エクセン神父が教会の中に戻るなり、ギードは駆け寄ってあせったように尋ねた。
「今のってクソファザー?!何を話してたのですか?!」
エクセン神父は、笑顔で答えた。
「そうですね、ルーラさんでした。ギード君がここにいないかと訊いて来ましたが、あなたはここにはいないと言っておきましたよ。多少しつこかったですけれどね。」
「あ"~~っ!!あんのクソファザー!!なんでここがわかったんだよ!ローラ兄様の居場所は全然わからないくせに!!」
ギードが頭をかかえるのを見て、エクセン神父は困ったように笑った。
「でも、ギード君はこの教会にはいないと言っておいたのできっと大丈夫ですよ。さあ、夕食の準備をしましょう。お手伝いしてくれますよね?」
「はい!もちろんです!」
ギードは気を取り直して元気に返答した。
こうしてエクセン神父のもとで過ごしているうちに、ギードは23歳の青年になっていた。
やがてエクセン神父は突然病に倒れ、看病もむなしく危篤状態に陥ってしまった。
ベッドの中の痩せ細ったエクセン神父は、息も絶え絶えにギードにこう告げた。
「お願いです、ギード君……。この教会の運営を、あなたが継いで下さい。信頼するあなたにこそ、この大切な教会を任せたいのです。お願…いです……ギー…ド…君………」
こうして息を引き取ったエクセン神父を看取りながら、ギードは…ギード神父は決心した。
何があっても、この教会を守って行こうと。
恩人のエクセン神父に報いる為にもーーー……
それからもギード神父は、神に祈る毎日を送った。
エクセン神父に託された大切な教会を管理しながら…
「…とまあ、こういうわけです。ローラ兄様に再会できたのは、神のお導きでしょうね。エクセン神父にも見せたかったです。」
この台詞で、ギード神父は締めくくった。
「そうか…ギード神父にとってエクセン神父は、ローラにとってのククロみたいなもんなのかな。」
「そうですね…クソファザーよりよほどお父様みたいでした。でもね、時々こうも思うんです。森でローラ兄様を忘れて帰ろうとしたクソ両親に、『ローラ兄様は?』と言えるだけの勇気があの時あれば運命も変わっていたのかも……私も悪かったのでは、と…」
「何言ってるんだい。ギードは何も悪くない。親のくせに子供を忘れて帰るほうがおかしいんだ。悪いのは全てあの人達だ。ギード、今までよくがんばってきたね。そして、寂しい思いをさせてごめんね。これからは兄としていつもそばにいて君を守るよ。」
ローラのこの言葉に、思わずギード神父は目から大粒の涙をこぼした。
「不思議ですね…涙なんて、とうに枯れ果てたと思っていたのに」
ギード神父は、ぼろぼろと涙をこぼしながら嗚咽した。
「どうして……こんなに、止まらない……っうぅ………」
「よしよし、泣きたいだけ泣いていいんだよ」
ローラは、涙するギード神父の頭を撫でて優しく微笑んだ。
「私の大事な弟。」
「っあぁ……ああぁーーーーーーー……!!!」
ギード神父は、子供の時のように声をあげて泣いた。
これまでの苦しみを全て乗せるように。
そんな弟の頭を、ローラはただただ優しく撫でていた。
これがウェッジやルカやククロが初めて見た、ギード神父の弱い姿だった。
(神様、どうかローラ兄様にもう1度会わせて下さい……ローラ兄様、どうか生きていて……元気でいますように……)
十字架の前でギードが祈りを捧げていると、外から何やら会話する声が聞こえてきた。
この声には聞き覚えがある。
この声は………
(げっ!クソファザー?!)
あの忌まわしきルーラと、敬愛するエクセン神父の話している声だ。
エクセン神父が教会の中に戻るなり、ギードは駆け寄ってあせったように尋ねた。
「今のってクソファザー?!何を話してたのですか?!」
エクセン神父は、笑顔で答えた。
「そうですね、ルーラさんでした。ギード君がここにいないかと訊いて来ましたが、あなたはここにはいないと言っておきましたよ。多少しつこかったですけれどね。」
「あ"~~っ!!あんのクソファザー!!なんでここがわかったんだよ!ローラ兄様の居場所は全然わからないくせに!!」
ギードが頭をかかえるのを見て、エクセン神父は困ったように笑った。
「でも、ギード君はこの教会にはいないと言っておいたのできっと大丈夫ですよ。さあ、夕食の準備をしましょう。お手伝いしてくれますよね?」
「はい!もちろんです!」
ギードは気を取り直して元気に返答した。
こうしてエクセン神父のもとで過ごしているうちに、ギードは23歳の青年になっていた。
やがてエクセン神父は突然病に倒れ、看病もむなしく危篤状態に陥ってしまった。
ベッドの中の痩せ細ったエクセン神父は、息も絶え絶えにギードにこう告げた。
「お願いです、ギード君……。この教会の運営を、あなたが継いで下さい。信頼するあなたにこそ、この大切な教会を任せたいのです。お願…いです……ギー…ド…君………」
こうして息を引き取ったエクセン神父を看取りながら、ギードは…ギード神父は決心した。
何があっても、この教会を守って行こうと。
恩人のエクセン神父に報いる為にもーーー……
それからもギード神父は、神に祈る毎日を送った。
エクセン神父に託された大切な教会を管理しながら…
「…とまあ、こういうわけです。ローラ兄様に再会できたのは、神のお導きでしょうね。エクセン神父にも見せたかったです。」
この台詞で、ギード神父は締めくくった。
「そうか…ギード神父にとってエクセン神父は、ローラにとってのククロみたいなもんなのかな。」
「そうですね…クソファザーよりよほどお父様みたいでした。でもね、時々こうも思うんです。森でローラ兄様を忘れて帰ろうとしたクソ両親に、『ローラ兄様は?』と言えるだけの勇気があの時あれば運命も変わっていたのかも……私も悪かったのでは、と…」
「何言ってるんだい。ギードは何も悪くない。親のくせに子供を忘れて帰るほうがおかしいんだ。悪いのは全てあの人達だ。ギード、今までよくがんばってきたね。そして、寂しい思いをさせてごめんね。これからは兄としていつもそばにいて君を守るよ。」
ローラのこの言葉に、思わずギード神父は目から大粒の涙をこぼした。
「不思議ですね…涙なんて、とうに枯れ果てたと思っていたのに」
ギード神父は、ぼろぼろと涙をこぼしながら嗚咽した。
「どうして……こんなに、止まらない……っうぅ………」
「よしよし、泣きたいだけ泣いていいんだよ」
ローラは、涙するギード神父の頭を撫でて優しく微笑んだ。
「私の大事な弟。」
「っあぁ……ああぁーーーーーーー……!!!」
ギード神父は、子供の時のように声をあげて泣いた。
これまでの苦しみを全て乗せるように。
そんな弟の頭を、ローラはただただ優しく撫でていた。
これがウェッジやルカやククロが初めて見た、ギード神父の弱い姿だった。