第8章 とあるシーフの昔話

「昔話してくださいです。」

ウェッジが飛空艇の中から下の地上や海を眺めていたら、突然ルカがこんな事を言い出した。

「むかーしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました。おじいさんはやまへしばかりに、おばあさんはかわへせんたくにいきました。」

ウェッジは仕方なくやや棒読みで語り始めた。

内容は非常にありきたりな感じがする。

「違うです、そうじゃないです。」

「めんどくせーガキんちょだな…どうしろってんだよ。」

「ウェッジさんの昔話が聞きたいです。」

「オレの昔話?」

「はいです。」

ルカはこくりと頷いた。

「たいしておもしろくねーと思うけど。」

「ぼくは、ウェッジさんが知りたいです。」

じっと幼児の大きな目に見つめられ、ウェッジは折れた。

「わかったわかった。話してやるよ。」

「ありがとうです~。」

ルカはニコニコ顔でお礼を言った。

「むかーしむかしあるところに、ウェッジという4歳の美少年がいました…」




「オウお前捨てられたのか!運のねぇガキだな!!俺みたいなクソ盗賊に見つかるたぁよ!まずは連れて帰ってやるぜ!」

親から野山に捨てられて途方にくれていた薄汚いガキを、盗賊団のお頭は拾ってくれました。

そいつを盗賊団のアジトに連れて行ったお頭は、薄汚いガキを風呂に入れキレイにし、飯を腹一杯になるまで食わせてくれました。
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