第7章 天駆ける旅

「うん、ひとつ報告をと思って。近々、アルテアの軍隊が侵略戦争を始めそうだから気を付けてね。」

「いったい、アルテアの国はどうなってしまったんだろう。多民族を滅ぼしたり、侵略戦争を始めようとしたり…。」

ローラは深刻な面持ちで言った。

「それじゃあ…。」

ルーラが踵を返した瞬間。

「おい待てよこのクソが。何それだけ言ってとっとと帰ろうとしてんだよ。」

ギード神父が、ルーラの肩をガッと掴んで引き止めた。

「ギード君はどうして欲しいんだい。」

ルーラは苦笑いで振り向いた。

「ローラに少しでも罪滅ぼししたいのならお前ん家の有り余ってる金の力で何か役に立つ事しろよこのクソが。」

「何か役に立つ事、ねぇ…。」

うーん、とルーラは考えた。

「わかった、僕の飛空艇を譲るよ。外にとめてあるから、自由に使って。」

「…ふむ。少しは旅に役立ちそうだ。」

ククロが言った。

「やったー!早く乗ろ乗ろ!」

ウェッジがわくわくしながら仲間たちを急かす。

「そうだね。さっそく乗ろうか。またね、ギード。」

ローラはにこやかに手をひらひら振った。

「さよならです、神父様、ルーラさん。」

四人が去った後、部屋は一気に静まった。

「……さっさと私に迷惑かけない形で帰れよ。クソファザー。」

「迷惑はかけないよ…。」





ギード神父のおかげで、飛空艇を手に入れられた四人。

ウェッジとルカが操縦したがったが、お子様には任せられないという事でククロが操縦係になった。

「すげー!おもしれー!山も川も野原もぜーんぶ上から見渡せるぜ!」

ウェッジは興奮した様子で飛空艇の中から下を眺めている。

「移動がだいぶ楽になったよね。」

ローラもニコニコ顔だ。
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