第4章 消えゆく運命でも

外に出たルカの目に飛び込んで来たのは、燃え盛る家々に、アルテア兵に斬られる人々。血まみれの死体。

ルカはショックのあまり立ち止まってしまった。

涙が静かに流れて止まらない。

頭が真っ白だ。

「死ね!!プレシャス族のガキ!!」

そんなルカに、アルテア兵が刃を振りかざして斬りかかろうとしてきた。

「いやああああ!!!!」

ルカは恐怖のあまり、無意識に魔法を使ってしまった。

それはホーリー。

アルテア兵は神聖な光に掻き消され、持っていた剣だけがその場に残った。

(ぼくが……!殺した?!)

殺した。

人を、殺した!?

「うわああああああああ!!!!!!!!」

半狂乱で泣き叫びながら、ルカは燃える故郷を飛び出し、頭が真っ白なまま走った。

走って走って、たどりついた先は知らない町。

「はぁ、はぁ、はぁ……。」

肩で息をし、次にその目に映ったのは、赤い装束の美青年とミシディア族の男性と、黄緑色のバンダナをした少年だ。

いでたちからして、赤い装束の男は赤魔道士で、ミシディア族の男性は黒魔道士だろう。

「君、今私の財布をスッただろう。君が横を通った瞬間、ポケットが軽くなった。返せ。」

赤魔道士の青年が少年を睨み付けた。

「はぁ~?なにそれ?証拠はあんの?」

少年は赤魔道士の青年を睨み付け返した。

黒魔道士のミシディア族は黙ってはいるが静かな怒りが満ちているのがわかる。

ルカはそんな三人のもとにトコトコと歩み寄り、そっと唱えた。

「……レビテト。」

すると、少年のポケットからスーッと財布が浮き上がって来た。

赤魔道士の青年はそれを取ると、少年をさらに睨み付けた。

「やはりな……。」

「てめーこのガキ!何してくれてんだ!!」

少年に怒鳴られ、ルカはビクッとする。

「そういうの、逆ギレっていうんだよ。さて、どうしようかな?自警団につきだそうかな?」

赤魔道士の青年が怒りをこめて言った。

「しょっぴこうか。」

ミシディア族の男性も言った。
3/4ページ
スキ