第4章 消えゆく運命でも

家の外からたくさんの悲鳴や炎が燃える音が聞こえてきたのは。


「古代人の末裔のプレシャス族を根絶やしにしろ!女子供と言えど逃がすな!」


「アルテア王のご命令により、同じく古代人の末裔のミシディア族の村のようにこの町を地図から消すのだ!!」


「むうっ!おのれ!予感はしておったが、ついに来たか!!」

長老がハッと足元を見れば、ルカが真っ青な顔でカタカタと震えている。

長老はルカの目線に合わせてしゃがみ、小さな両肩に手を置いた。

そして真剣な目で話を始めた。

「良いか、ルカ。お前はここから逃げて生き延びなさい。何があってもだ。」

「ひとりはいやです!長老様といっしょにいるです!怖いです!」

ついにルカは泣き出した。

長老はそれでも真摯に語りかける。

「ルカ、お前は才能がある!頭もいい!お前にこの世界を託したいのだ!ルカーンの予言を覚えているだろう?お前が光の戦士になれ!」

「いやです!いやです!戦いなんていやです!」

「お前は独りじゃない。助けてくれる仲間が必ず現れる!ルカ……消えゆく運命でも、私が死のうとも、お前が生きている限りプレシャス族の命は続くのだ!頼む……生きてくれ。」

次第に、この家にも火がついた。

「行け!ルカ!!」

ルカは泣きじゃくりながら外へ駆け出した。
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