第3章 優しさと決意
「よっしゃ!反撃開始!」
「目にもの見せてやる!」
ウェッジとローラが斬撃による反撃に出た。
だが魔物はやられるばかりで、ちっとも反撃してこない。
「魔法しか能がないだと?その言葉、そっくりそのままお返ししてやろう。」
心の中でローラに感謝しながら、ククロは言い放った。
「ぼくもっ!」
ルカが杖を握りしめ駆け出した。
「えいっ!えいっ!」
そして、魔物をポカポカと杖で叩き始めた。
「ぼくだっておこってるです~!2度とククロさんをバカにするなです!」
何も出来ないままルカやローラやウェッジに攻撃されまくる魔物をニヤニヤと眺めながら、ククロはお宝を袋に詰めている。
詰め終わった頃には、魔物はくたばっていた。
「よーし帰ろ帰ろ!クロちゃっかりお宝奪っちゃってるし、オレより盗賊らしいんじゃね?」
「あの魔物が持ってるよりは、僕達が持ってるほうが為になるだろうと思ってな…。」
「町で売ってお金にしようか。さすがトディ。」
「お金持ちになれるですね~。」
わいわい楽しげに会話しながら部屋を出ていく四人を、くたばった上にサイレス剣の効果がかかってる魔物は無言で悔しげに見ている事しかできなかった。
その夜、夜営でローラだけが起きていたが、ルカも起きて彼のもとにやってきた。
「おや。良い子は寝ている時間だよ。」
ローラは優しく言った。
「なんだか寝つけなくて……。それにしても、今日のローラさんは凄かったですね。ククロさんの為にあんなに怒って。」
「うん…。トディをバカにされたのが、どうしても許せなくて。実際、赤魔道士になれたのもトディを守る為に長年努力した成果なんだ。」
「ククロさんを…?」
「ああ。トディの為ならなんだってする。トディを守る為なら。トディの故郷や家族や仲間達を奪ったのは私達アルテア族なのだから、そのアルテア族なりの償いとして我々アルテア族が滅ぼしたミシディア族のトディを守る。」
ローラの覚悟と優しさの大きさに、ルカは言葉を失った。
きっとローラはずっとアルテア族として責任を感じて来たのだろう。
「もちろん、ルカ。君の事にも責任を感じているよ。君の生まれ育った故郷とその一族を滅ぼしたのもアルテア族なのだから。」
そう、ルカの出身民族もアルテア族に滅ぼされていたのだ。
ローラを労るようにルカはこう言った。
「アルテア族全てが悪い人じゃありませんよ。悪いのは戦争が好きな人達だけです。ローラさんは争い事が嫌いな優しい人じゃないですか。」
「ありがとう…。」
ローラは柔和に微笑んだ。
「やはり、君はもう休んだほうがいいよ。見張りは私に任せてゆっくりお休み。」
「はいです~。おやすみなさいです、ローラさん。」
ルカはおとなしくテントに入って行った。
あんな小さな子が戦わされる世界なんて…。そう心で呟くローラだった。
「目にもの見せてやる!」
ウェッジとローラが斬撃による反撃に出た。
だが魔物はやられるばかりで、ちっとも反撃してこない。
「魔法しか能がないだと?その言葉、そっくりそのままお返ししてやろう。」
心の中でローラに感謝しながら、ククロは言い放った。
「ぼくもっ!」
ルカが杖を握りしめ駆け出した。
「えいっ!えいっ!」
そして、魔物をポカポカと杖で叩き始めた。
「ぼくだっておこってるです~!2度とククロさんをバカにするなです!」
何も出来ないままルカやローラやウェッジに攻撃されまくる魔物をニヤニヤと眺めながら、ククロはお宝を袋に詰めている。
詰め終わった頃には、魔物はくたばっていた。
「よーし帰ろ帰ろ!クロちゃっかりお宝奪っちゃってるし、オレより盗賊らしいんじゃね?」
「あの魔物が持ってるよりは、僕達が持ってるほうが為になるだろうと思ってな…。」
「町で売ってお金にしようか。さすがトディ。」
「お金持ちになれるですね~。」
わいわい楽しげに会話しながら部屋を出ていく四人を、くたばった上にサイレス剣の効果がかかってる魔物は無言で悔しげに見ている事しかできなかった。
その夜、夜営でローラだけが起きていたが、ルカも起きて彼のもとにやってきた。
「おや。良い子は寝ている時間だよ。」
ローラは優しく言った。
「なんだか寝つけなくて……。それにしても、今日のローラさんは凄かったですね。ククロさんの為にあんなに怒って。」
「うん…。トディをバカにされたのが、どうしても許せなくて。実際、赤魔道士になれたのもトディを守る為に長年努力した成果なんだ。」
「ククロさんを…?」
「ああ。トディの為ならなんだってする。トディを守る為なら。トディの故郷や家族や仲間達を奪ったのは私達アルテア族なのだから、そのアルテア族なりの償いとして我々アルテア族が滅ぼしたミシディア族のトディを守る。」
ローラの覚悟と優しさの大きさに、ルカは言葉を失った。
きっとローラはずっとアルテア族として責任を感じて来たのだろう。
「もちろん、ルカ。君の事にも責任を感じているよ。君の生まれ育った故郷とその一族を滅ぼしたのもアルテア族なのだから。」
そう、ルカの出身民族もアルテア族に滅ぼされていたのだ。
ローラを労るようにルカはこう言った。
「アルテア族全てが悪い人じゃありませんよ。悪いのは戦争が好きな人達だけです。ローラさんは争い事が嫌いな優しい人じゃないですか。」
「ありがとう…。」
ローラは柔和に微笑んだ。
「やはり、君はもう休んだほうがいいよ。見張りは私に任せてゆっくりお休み。」
「はいです~。おやすみなさいです、ローラさん。」
ルカはおとなしくテントに入って行った。
あんな小さな子が戦わされる世界なんて…。そう心で呟くローラだった。