第3章 優しさと決意

ギード神父と別れた一行は、町の西の洞窟を目指す事にした。

その途中、ウェッジが「西か!じゃああっちだな!」と見事に反対の方向を指した為、ルカから控えめに「あっちです……。」と訂正された。



「まったく、5歳児から注意される13歳なんて……。」

ゴツゴツした洞窟の中を通りながら、ククロはため息をついた。

「5歳児のくせに賢すぎるルカが悪い!」

それに対しウェッジはこう言う有り様だ。

ルカは困ったように苦笑いした。

「それはいいとして、もう3階じゃないかい?道のりとしてはだいぶ進んだけど、お宝をひとりじめしてる魔物はどこにいるんだろう。」

ローラが上手く話を真面目な方向にそらした。

「あっ!よく見たらあそこの岩壁、ドアがあるです。」

ルカが指す方向を見れば、でこぼこした岩壁に赤いドアが設置されていた。

きっと部屋になっているのだろう。

「おっしゃ!なんかありそうな気配?行ってみよーぜ!」

ガチャッとウェッジがドアを開けると、そこにはひとつ目の球体の魔物と、山ほどの金銀財宝が。

この魔物が、噂のお宝をひとりじめしている魔物であろう事に間違いない。

「な、なんだお前ら?!この宝は俺の物だ!誰にも渡さん!」

魔物は警戒して叫んだ。

「うわあ。小物感溢れるセリフ……。」

ウェッジはあきれた顔をした。

「お前、バカじゃねーの?お宝は山分けしてこそ楽しいだろうに。」

「山分けする相手がいないだけかもしれませんよ?」

このルカの言葉は、魔物の逆鱗に触れた。

「貴様ら!!許さん!!!」

「うわ!何怒ってんだよ?!」

「どけ。コイツめんどくさいから1発で殺る。」

なにげに酷い事を言いながらククロが前に出た。
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