第2章 再会と…

驚いたのはローラだけではないようだ。

神父も、目を見開いている。

そしてローラに尋ねた。

「貴方…、どこかでお会いしましたか?」

「新手のナンパですか。」

「私にはそういう趣味はありません。」

ローラの謎の反応に、神父は困ったように苦笑いを浮かべた。

「私は神父のギードと申します。ギード・ラージア・ディーンです。」

「どうもはじめまして。ウェッジ・ケルガー・ブランクでーす。」

「ククロ・ココ・ジステイラだ。」

「ルカ・ミコト・サラノアルビィです~。」

「はじめまして、神父様。ローラ・クルーヤ・ディーンといいます。」

「おや、奇遇ですね。私と同じ苗字だ。それに……いえ、なんでもありません。」

「?」

「皆様こちらへどうぞ。お茶をおいれします。」

ギード神父に通され、四人はテーブルと椅子のある部屋へ来た。

椅子に腰かけると、テーブルにお茶と中華まんが置かれる。

「どうぞ。私の大好物です。」

自身も椅子に腰掛けながら、ギード神父はニコニコと言った。

「へぇ~!これって、餡まんとか?」

ウェッジが尋ねた。

すると、意外な答えが帰って来た。

「いいえ、肉まんです。」

「肉まん?!神父が肉まんって…、アリなのかよ?肉まんの肉って豚とかじゃ…。」

「は?豚は人間に食われるためにいるんだろ。」

肉まんをかじりながら、ギード神父は言ってのけた。

なんと神父らしくない発言。

四人は思わず固まった。

「あなたがたは、旅人ですか?ミシディア族で旅人の方をお見かけするのは珍しいですね。」

「…旅せざるをえなくなったんだ。」

お茶を飲みながら、ククロが答えた。

「私達アルテア族に、ミシディア族は滅ぼされたんです。ククロ・ココ・ジステイラ…トディは、それ以降ずっと幼い私を連れて旅をして来たんです。」

ローラが悲しそうに説明した。

「何か訳アリのようですね…。アルテア族がミシディア族といっしょにいる事自体珍しいですし。」

「トディは…、森に置き去りにされた4歳の私を、拾って育ててくれたんです。だから私は、19年間ずっとトディと共に人生を歩んで参りました。」

「ローラさん…。…………?!もしかして貴方は!」

「…?」

「ローラさん!あの、アルテアの国で暮らしていた時の事覚えていませんか?!私です!双子の兄弟のギードです!あの頃と違って髪は染めていて色こそ違いますがギードです!」

「……………!」

ローラは思い出した。

ミシディアの村に住む前、アルテアの国で暮らしていた時の事を。

貴族の屋敷で、ギードという双子の兄弟と仲睦まじく生活を送っていた事を。

ローラは一気に懐かしさがこみ上げてきた。

「ギード……?!本当に、ギードなのかい?!」

「そうですよ、ローラ……。会いたかった……。貴方がいなくて、寂しかった。ずっと会いたかった。」

ギード神父は、ポロポロと涙をこぼしながら柔らかな笑顔を浮かべた。

その顔は、まさしくローラの双子らしくローラとそっくりだ。
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