-
ユヅキ助け…られなかった…っ、
-
ユヅキ
絶対に、助けたかったのに…、っ、
-
キザキ
……
-
ソウタ
…、
-
ユヅキ
まだ7歳の…小さい体で…、
-
ユヅキ
背だって、これからももっと伸びただろうし…、
-
ユヅキ
友達とだって、いっぱい遊びたかったはずなのに…、っ…、
-
キザキ
……
-
ユヅキ
たくさん…、あの子には未来があったのにっ…、
-
ユヅキ
それなのに、私…っ、
-
ユヅキ
助けてあげられなかった…。
-
キザキ
……
-
ユヅキ
なんで非力な自分が医者なんかやってるのか…、
-
ユヅキ
私なんかがこれからも医者でいていいのか…、もう、考えてると辛くて…っ、
-
ユヅキ
救命医なんかやってれば、こういった悲しくて辛いことを避けることなんかできないってことも、
-
ユヅキ
頭の中では理解しているつもりです…。
-
ユヅキ
でも…、
-
ユヅキ
どうやって乗り越えたらいいのか…、もう、分からなくて…。
-
ソウタ
…ユヅキ…。
-
ユヅキ
…っ、…、
-
キザキ
…やっと、ちゃんと言えた。
-
ユヅキ
っ…、？
-
キザキ
せっかくここを頼って来たのに…ソウタにそのことを話さずにいたでしょ？
-
ユヅキ
…え…、
-
キザキ
そのままずっと何も言わずに心に留めていたら、
-
キザキ
ユヅキちゃん、おかしくなっちゃうよ？
-
ユヅキ
——…、
-
キザキ
バカな子のこと、
-
キザキ
ちゃんと見に来て良かった…、
-
キザキ
絶対に一人で苦しんでると思ったから。
-
ユヅキ
…！
-
キザキ
電話でソウタから大まかなことを聞いて、
-
キザキ
きっと病院で何かあったんだなって、すぐに思ったよ。
-
キザキ
大変だったと思う…、よく頑張ったね、ユヅキちゃん。
-
ユヅキ
…――っ、
-
キザキ
僕ね、思うんだ。
-
キザキ
お医者さんって、みんなの命を最大限に引き伸ばしてくれるのが仕事なんだろうけど、
-
キザキ
その人に与えられた命数だけは、どうにもできないんだって。
-
キザキ
やっぱり、神様だけだよね…それができるのは。
-
ユヅキ
…、
-
キザキ
すごく助けたかったっていう気持ち…分かるよ、
-
キザキ
ユヅキちゃんだもん、きっと人一倍そう思ったよね？
-
キザキ
そんなユヅキちゃんだから、できる限りのことをしてあげたと思う。
-
ユヅキ
——…
-
キザキ
ユヅキちゃんが担当してくれたから…、
-
キザキ
その子の命を一生懸命救おうと頑張ってくれたから、
-
キザキ
家族の人たちはキミのその姿を見て、
-
キザキ
辛くても子どもの死を受け入れることができたんじゃないかな…。
-
キザキ
ユヅキちゃんの医師としての姿に、
-
キザキ
前を向く力をもらえたんじゃないかなって、僕は思うよ。
-
ユヅキ
……、
-
キザキ
ユヅキちゃんが担当してくれて良かったって、
-
キザキ
僕がその人たちなら、絶対にそう思う。
-
ユヅキ
………
-
ユヅキ
…――――
タップで続きを読む
