Vol. 3 揺れる想い ・3

  • ルイ

    さっき起きて…、

  • ルイ

    実は昼飯どころか、

  • ルイ

    昨日の夕方に食べたっきり、なーんも食べてないんよ。

  • ヒナ

    …『さっき起きて』って…、

  • 腕時計に視線を移せば、時計の針は15時過ぎを指していた。

  • ルイ

    そや、

  • ルイ

    お礼くれるんやったら、昼飯で手ぇ打たへん?

  • 綺麗な額を見せたままで、空腹のせいもあってか儚げに笑うルイくんは、

  • なんだか迷い犬みたいで。

  • 放っておけない雰囲気を滲ませているから、

  • ヒナ

    もちろんいいよ!

  • ヒナ

    洗車はいいから、

  • ヒナ

    先にご飯食べよっか。

  • こんなの、即答しかない。

  • いつもは凛々しい瞳も翳りを見せていて、母性を擽られるというか、

  • ヒナ

    (おなかを空かせた男子って、)

  • ヒナ

    (みんなこんな感じなのかな…?)

  • そんなことを思う。

  • ルイ

    相変わらず、ヒナは優しいなー。

  • ルイ

    ほな、メシ食ったら、ちゃんと洗車手伝うから。

  • ヒナ

    大丈夫だよ。

  • ヒナ

    もう洗い終わって、後は仕上げの拭き取りだけだし。

  • 言いながら、洗車道具を手際よく片付ける。

  • ルイ

    じゃ、拭き取るの俺やるわ。

  • ヒナ

    いいよ。今日は自然乾燥にするから。

  • ルイ

    …え、そんなん、

  • ルイ

    大事な車に水垢できるんちゃう?

  • ヒナ

    緊急事態だからいいの。

  • ルイ

    ……緊急事態、って、

  • クスクスと小さく笑ったルイくんは、スッと目尻を細める。

  • ルイ

    腹空かせてる俺のことが、緊急事態?

  • ヒナ

    そうだよ?

  • ルイ

    ヒナにとっての緊急事態?

  • ヒナ

    うん。

  • ルイ

    つまりは、最優先事項?

  • ヒナ

    そう。

  • ヒナ

    おなかを空かせて元気のないルイくんを放っておけないもん。

  • ルイ

    ……

  • ヒナ

    どうかした?

  • ルイ

    ……——、———

  • ヒナ

    え? なに?

  • 独り言のように小さく呟いたルイくんの言葉が全然聞き取れなくて。

  • 反問するように見つめたけれど、

  • ルイくんは何も応えることなく、はぐらかすようにそっと視線を逸らした。

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