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ヒナ
皆と集まるときは、集合しやすい中間のエリアを選ぶから。
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ルイ
…なるほどな、それでこの店か。
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ルイ
まさか会うと思うてへんかったから、
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ルイ
マジでびっくりしたわ。
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ヒナ
ふふ、私も。
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ヒナ
…ルイくんも、
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ヒナ
結構遠くのお店にバイトに来てるんだね。
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ルイ
まあ…わりとココ、時給いいしな。
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ヒナ
そうなんだね。
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ヒナ
バイト、お疲れ様。
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ルイ
…おん。
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グレーのインナーに黒いTシャツを重ねたカジュアルなスタイルは、どうやらこのお店で働く店員のユニフォームらしくて、
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サッと見渡せば、みんな一様に同じ格好をしている。
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そんな中で、お世辞じゃなくルイくんは周りから秀でて一番かっこいい。
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…わ。なになに、このイケメンくん!
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ヒナの知り合い?
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いつの間に?!
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興味深そうに割って入ったリサに、説明しようと私が口を開くよりも早く、
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ルイくんがすかさず彼女の言葉尻を拾った。
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ルイ
どーも。
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ルイ
ヒナの家の隣に住んでる中森ですっ。
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ルイ
以後、ご贔屓に。
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こちらこそー!
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こんなかっこいい人、ヒナの近所にいたんだー!
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ルイ
かっこいいかどうかはさておき、
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ルイ
おったんですわ、4年くらい前から。
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4年前かあ…、ヒナとも高校卒業してからは外で遊んでばかりで、
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ずっと家に行ってないからなあ…、
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そりゃ気付くわけないわよ…と、大袈裟に肩を落として見せるリサに、
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ルイくんは明るく畳み掛ける。
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ルイ
まあまあ。
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ルイ
今出会ったんやから、過ぎたことはいいですやん。
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ルイ
それよりも、おねーさん、
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うん、なに?
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ルイ
俺らスタッフ一同、いつも元気に待ってるんで。
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ルイ
他にもたくさん人連れて、またこの店来てな?
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ヒナ
……、
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ヒナ
(いやいやいや…、なんて素敵なスマイル)
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その太陽みたいなその笑顔にどれほどの破壊力があるのか、ルイくんは気付いているのだろうか。
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それがただの接客の一環だったとしても、
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もともと年下には興味のないリサだって無視できるわけがない。
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やーん、絶対にまた来るー!
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そのときは、ルイくん指名でよろしくっ。
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ルイ
指名て。
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ルイ
おねーさん、ココ、そういうお店ちゃいますから。
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そうだけどっ。
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ルイ
まあ、できるだけ、おねーさんがオーダーしてくれた料理やドリンクは俺が運ぶようにするんで、
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ルイ
それで堪忍してな?
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爽やかな微笑と口調で交わす姿は、優美な蝶がひらりと舞うようで。
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相手を不快にさせることなく、なんだかとても手慣れている感じがした。
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ルイくんみたいな人、さすがのリサも見事に陥落だろう。
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ヒナ
……、
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ヒナ
(これだからイケメンって…)
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ヒナ
(チヤホヤされて、女性をたくさん手玉に取ったりしてね?)
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ヒナ
…、
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ヒナ
(…いや、そんなこと思うなんて、みっともないな、私…)
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内省しつつ、気を取り直して静かにジンジャーエールに口を付けた。
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