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アイリ
——こ、これって、どういうこと…?!
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アイリ
キザキさん、私たちのこと、
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アイリ
<兄妹じゃない>って…、
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レン
…ごめんな、アイリ。
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レン
俺は、この事実を前から知ってたんだ。
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アイリ
え、ちょっと待って…、
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アイリ
なんかちょっと、いきなりで、混乱しちゃう…、
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レン
…、
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アイリ
え、えっと、つまり…、
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アイリ
じゃあ、ほんとに私たちは…、
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レン
ずっと隠してて悪かった。
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レン
おまえの母親と俺の親父は、アイリが2歳の時に再婚して…、
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アイリ
——
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レン
サクヤの手紙にもあるように、
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レン
俺たちは実の兄妹じゃない。
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アイリ
…!
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レン
おまえと俺には血の繋がりなんてものは全くなくて…、
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レン
そして俺は、
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レン
おまえのことが好きでたまらない。
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アイリ
——お兄、ちゃん…、
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俺の一言一句を大切そうに受け止めたアイリは、
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動揺する心を落ち着かせるためか細く息を吐き出した。
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レン
なぜ、ずっと隠してたのか、
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レン
それは親父の深い想いがあってのことで…、
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レン
そのことについても、後でちゃんと話す。
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アイリ
……、
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レン
いろんなことがあった上に、突然のことで驚いたと思うが、
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レン
兄妹じゃないことも、
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レン
俺がおまえに抱く想いも、全部嘘じゃない。
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アイリ
……ッ、
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静かに耳を傾けていたアイリだったが、その双眸から落ちた一筋の涙が頬に線を引き、
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それはやがて次から次へと放物線を描くように顎先へと滑り落ちる。
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俺はそんなアイリから視線を逸らすことなく、
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ゆっくりと手を差し出した。
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レン
アイリ…、
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アイリ
…、っ、もうっ、
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アイリ
びっくりさせないでよ…!
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レン
悪い、いきなりで…、
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アイリ
謝らなくていい…っ、
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アイリ
告白って、突然なのが、当たり前だもん…、
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レン
…、
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アイリ
ほんとに…、すごく驚いたけど…、
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アイリ
こんなサプライズなら、大歓迎っ…、
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静かに伸びたアイリのしなやかな指先がおずおずと俺の手に触れて、柔く指が絡んだ。
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アイリ
私だって…、っ、
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アイリ
お兄ちゃんのこと、ずっと好きだったよ…、
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アイリ
もちろん、今も、ずっと…、
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レン
——アイリ…、
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アイリ
…ほんとに私、
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アイリ
お兄ちゃんのこと好きでいてもいいんだよね…?
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レン
当たり前だろ…、
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レン
俺には、おまえしかいないんだからな。
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アイリ
———…、
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レン
これからもずっと、俺の側にいてほしい。
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絡ませた指先ごと、手のひらで包み込んで強く引き寄せる。
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コトン、と俺の胸に頬を当てたアイリは、涙で濡れた瞳で切なげに、
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それでいて、大輪の笑顔を咲かせながらこちらを仰ぎ見た。
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アイリ
ずっと、
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アイリ
ずーっと、お兄ちゃんの側にいるっ…。
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レン
言ったな?
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レン
一生離してやらねーぞ?
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アイリ
望むところだっ…!
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レン
ははっ、
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照れたように微笑むアイリを深く抱き締める。
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ようやく手に入れることができた、俺の宝物。
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レン
(…愛してる…)
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生涯をかけて愛し抜くと心で誓いを立てながら。
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溢れる想いとともに、
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アイリの艶やかな唇に、そっと優しいキスを残した。
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