Vol. 14 My All ・4

  • キザキさんがうちの居候じゃなくなる日も、残すところあとわずか。

  • 彼がこの家を出た2日後に、私もアメリカに発つ。

  • 離れ離れになってしまう前に、彼にこの想いを伝える。

  • 伝えないと、きっと後悔するから。

  • ユヅキ

    ……、

  • 一つ、深呼吸をして。

  • キザキさんの部屋のドアを軽くノックした。

  • キザキ

    はーい、どうぞ?

  • ユヅキ

    すみません、お邪魔します…。

  • キザキ

    お邪魔なんかじゃないよ。

  • キザキ

    ユヅキちゃんなら、いつでも大歓迎。

  • 机でノートパソコンに向かうキザキさんは、回転チェアを静かにくるりとさせてこちらを振り向く。

  • 三日月のように細めた瞳は、嬉しそうに私を見つめた。

  • キザキ

    珍しいね、ユヅキちゃんから僕の部屋に来るなんて。

  • キザキ

    僕がお願いして来てもらったことはあるけど…自分から来るのって初めてじゃない?

  • ユヅキ

    …そうでしたっけ?

  • キザキ

    そうだよ。

  • キザキ

    事務所にはどんどん遊びに来てね。

  • ユヅキ

    でも、キザキさん、調査で外にいることのほうが多いんじゃないですか?

  • キザキ

    あ。それもそうだね。

  • キザキ

    せっかくのタイミングを無駄にしたくないから、来るときはまず僕に連絡して?

  • ユヅキ

    ……そのときは、そうしますね。

  • ユヅキ

    (しばらくは、行きたくても行けなくなるけど…)

  • 渡米の話をいつ切り出すか考えながら、少しばかり曖昧に微笑んで室内を見渡した。

  • ユヅキ

    部屋の中も、スッキリ片付きましたね。

  • キザキ

    見ての通り、あとはちょっとした身の回りの物と僕が事務所に行くだけ。

  • ユヅキ

    事務所もずいぶん綺麗に片付いてましたもんね。

  • キザキ

    一昨日から、昼間はあっちで仕事できるようになったよ。

  • キザキ

    持ち帰った仕事をこの部屋で消化するのも、あと少しの間かな。

  • ユヅキ

    …そうですか。

  • キザキ

    あ、そうそう。

  • キザキ

    この椅子と机がすごく使いやすくてね、

  • キザキ

    それを知った藤沢さんが『良かったら持って行きなさい』って言ってくれたから、

  • キザキ

    最初はお言葉に甘えてそうしようかなと思ったんだけど…、

  • キザキ

    この間、ここに落書きを発見しちゃって。

  • ふふ…と、優しげに笑ったキザキさんは、机の側面を長い指先でポンポンと弾く。

  • ユヅキ

    …落書き?

  • キザキ

    うん。

  • キザキ

    コレがなかったら、ありがたく譲ってもらってたんだけどね。

  • ユヅキ

    …、

  • ユヅキ

    (そんなに目立つ落書きなのかな…?)

  • キザキ

    ほら、ココ。

  • ユヅキ

    ……

  • キザキさんの指先が指し示す落書きとやらを目視すべく、

  • 訝りながら机の側に歩み寄った。

タップで続きを読む

夢ストーリー設定

名前やアイコンを変更したい登場人物を選択してください。

主人公 夢主

アイコンを変更

チャットの発言者名

苗字

名前

あだ名

夢ストーリー設定

アイコンの変更には、フォレストページ+へのログインが必要です。

ログインする

アカウントをお持ちでない場合