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マユキ
良かった、その想いを聞くことができて。
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マユキ
ユヅキが渡米しちゃう前にどうしても話しておきたかったのは、そのことだから。
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ユヅキ
マユキ…、
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マユキ
ユヅキが気持ちを抑え込んだままで、キザキさんと離れてしまうのだけは嫌だったの。
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ユヅキ
…、
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ユヅキ
……実は、
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ユヅキ
キザキさんはまだ知らないんだよね、私が渡米すること。
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マユキ
えっ、そうなの!?
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マユキ
…ってことは、言わずに離れるつもりだったの?
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ユヅキ
うん…。
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ユヅキ
それに、まだ…、
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ユヅキ
自分の想いをキザキさんには伝えるかどうかは、今も少し迷ってる。
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マユキ
えっ!?
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マユキ
なんで迷うの??
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ユヅキ
…それは…、
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ユヅキ
なんとなく…、
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マユキ
……
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ユヅキ
……
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マユキ
…私のことを思ってくれるからだとしたら、余計なお世話だからね?
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ユヅキ
ごめん、なんていうか…、
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マユキ
ちゃんと気持ちを伝えなきゃダメだよっ。
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ユヅキ
———
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マユキ
……ね、ユヅキ。
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そのまま私の髪を撫で梳いていたマユキの手が、そっと肩を掴んだ。
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マユキ
ユヅキが私のことをいつも考えてくれるように、私だってユヅキのことを考えてるの。
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ユヅキ
…、
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マユキ
子どもの頃からずっと、私が一人ぼっちにならないように側にいてくれたこと…、
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マユキ
私、ずっと忘れたことないよ?
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ユヅキ
…、マユキ…、
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マユキ
そんな優しいユヅキだからこそ、絶対に幸せになってほしいの。
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ユヅキ
……
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マユキ
私は、どんな物語もハッピーエンドが好きなの。
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マユキ
ユヅキが作るハッピーエンドだったら、もう最高!
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弾けるような笑顔で、マユキは私の肩を抱き寄せる。
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ふわふわとしたその優しさは、
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私の心の雪解けを促すような暖かさを惜しみなく届けてくれた。
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マユキ
渡米することも、キザキさんへの想いも、ちゃんと彼にも伝えてね?
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ユヅキ
……
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マユキ
ユヅキ、お願いだから。
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ユヅキ
…、
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マユキの真っ直ぐな瞳の色に、強く背中を押されて。
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それは、
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私が初めて紡ぐハッピーエンド。
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ユヅキ
……分かった、頑張ってみる。
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耳奥を擽るようなマユキの言葉に指切りをするように、
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私はそっと頷き返した。
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