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真新しいクロス張りの壁に視線を投じながら、

見た目の重量感に比例したソファーの心地よさに身を委ねる。

広い窓際で穏やかな日光を浴びる観葉植物は、改築祝いにと私の父が送ったもので、

一際目立つ場所に配置されたそれに、キザキさんの配慮を感じた。

きちんと整理された事務所内をくるりと見渡せば、

片付けに奮闘した彼の姿が垣間見えた気がして、眉が八の字に下がる。

ここまで一人で片づけたとなると、なかなかの労力を費やしたに違いない。

目の前の埃一つないガラス製のセンターテーブルを見て、そっと溜め息をついた。

まだスタッフですら足を踏み入れていないというこの場所に、

部外者である自分が真っ先に入り込んでもいいのだろうかと改めて恐縮していると、

依頼主との電話のために席を外していたキザキさんが、通話を終えて現れた。

静かな笑みを湛えながら私と向き合う形でソファーに腰を下ろしたキザキさんを、こっそり上目遣いに窺って沈黙する。

距離の近さを想像して思わず顔を赤らめてしまった自分が恥ずかしくて、

さっきも眺めていた室内を、さも初見であるかのように物珍しそうに見澄ました。

苦笑を向けた私を柔く制するように微笑んで、キザキさんはゆったりとソファーに背を預けた。

寛ぐ体に何気なく吐息と言葉を添えたキザキさんは、パッと見た感じいつもと何ら変わりはない。

けれど、

不意にちらつく微々たる表情の変化に、なんとなく違和感を覚えた。

気付かれないように注視していると、

どこか病苦を思わせるような倦怠の色が浮かんでくる。

懸命に隠し通そうとしているモノの正体に勘付いて、キザキさんを真っ直ぐに見据えた。

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