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アイリ
良かった…、
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アイリ
熱とか出てないね…。
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レン
アイリ、おまえ…、
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アイリ
風邪気味だったから…、心配だったんだからね…。
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レン
…、
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アイリ
夜遊びをダメだとは言わないけど、やっぱり、
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アイリ
体調が万全じゃないときは、できるだけ控えたほうがいいよ…?
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レン
おまえ、いつからここで待ってたんだ?
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アイリ
……そんなの覚えてない。
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レン
『覚えてない』って、おまえ…、
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レン
手もすごく冷たいし、
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レン
早くベッドに入って寝ろ、な?
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アイリ
じゃあ……、
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アイリ
おんぶ。
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レン
えっ?
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アイリ
おんぶ。
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アイリ
小さい頃は、よくおんぶしてくれたじゃん…、
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アイリ
おんぶで部屋まで行く…。
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レン
…ったく、今も小さい子みてーだな。
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俺はやれやれといった風に相好を崩すと、
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靴を脱いで廊下に屈み、要望に応えてアイリを背負う。
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レン
(身体まで冷えてるじゃねーか…)
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今は、初夏なのに。
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両腕が肩から首へと回り、必然と触れるしなやかな肌は、
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アイリの体がどれだけ冷え込んでいるのかを正確に伝えてくる。
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レン
おまえが風邪引くぞ。
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アイリ
大丈夫だよ…、
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アイリ
お兄ちゃんよりもまだ若いもん…。
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レン
なんだよそれ。
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レン
俺だってまだオッサンって言うには早いだろ?
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苦笑混じりに切り返しながら、階の部屋へと続く螺旋階段をゆっくりと登る。
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アイリ
風邪がひどくならなくて、ほんと安心したよ…。
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俺の肩に軽く顎先を乗せたアイリは、
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心地よい揺れに体を預けるようにして、眠気を引きずりながら声を並べた。
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