Vol. 2 ヤキモチだったら嬉しい。 ・2

  • 大学に通うアイリは、淑やかというよりは明朗活発な女に成長した。

  • よく食べ、

  • よく眠り、

  • よく笑う。

  • 男みたいに胡座もかくし、汚い言葉だって平気で吐くこともある。

  • そんなアイリだからなのか、そこに埋もれた深い魅力にドキリとさせられた。

  • あっさりとした物腰が当たり前なのに、垣間見せる優しさはどうにも卑怯で。

  • この魅力に気付くヤツは俺だけでいい…と、切に願ってしまう。

  • アイリ

    お兄ちゃん、ドレッシング取って。

  • レン

    おう。

  • 親が他界してからずっと、家事全般は俺の役目。

  • 一級建築士の仕事に就く俺は、一日の大半を会社の事務所で過ごしている。

  • 確かに、仕事をしながらの家事はそれなりに大変だが、

  • アイリには出来るだけ世間一般の子達と同じように、学業や遊びに専念させてやりたいと思っていた。

  • レン

    今日の夜さ、晩飯作っとくから一人で食べてくれな。

  • アイリ

    えっ、そうなの?

  • アイリ

    なんで?

  • アイリが箸を咥えたままキョトンとする様を見遣って、俺は溜め息混じりに続けた。

  • レン

    ちょっとな…、

  • レン

    飲み会に誘われてさ。

  • アイリ

    ……、

  • アイリ

    合コン、か。

  • レン

    お…、よく分かったな。

  • アイリ

    だってお兄ちゃん、仕事仲間の人たちと行く普通飲みのときは、

  • アイリ

    <飲み会>って言わないもん。

  • レン

    …そうか?

  • アイリ

    うん。

  • アイリ

    普通に、『飲みに行ってくる』って言うよ。

  • レン

    へえ…

  • レン

    名推理だな。

  • 思わず小さく吹き出す。

  • アイリの小鼻が僅かに膨らんで、得意げな顔をしたのが可愛くて。

  • アイリ

    思えばさ、

  • アイリ

    お兄ちゃんってイケメンだから、そういうの誘われることが多いよね。

  • レン

    そんなことねーよ、人数合わせでたまたま呼ばれてるだけだ。

  • アイリ

    そんなことある。

  • アイリ

    ……あっ、

  • アイリ

    もしかしたら利用されてるかも…、

  • アイリ

    合コンに出席してもらう女の人をおびき寄せるためのエサ、とか。

  • レン

    エサ、か…

  • 嫌味にも聞こえるアイリの言い草に、わざとらしく納得したように頷いて見せた。

  • アイリ

    もう、なに分かったような顔してんの。

  • レン

    一理あると思ってさ。

  • アイリ

    もう…。

  • アイリ

    まったく、

  • アイリ

    そう思いながらも、風邪気味なくせに行くんだ?

  • レン

    …風邪?

  • アイリ

    そうだよ、

  • アイリ

    お兄ちゃん、風邪気味だったでしょ?

  • レン

    ……、

  • そういえば、

  • 自分は二日ほど前から風邪気味だったなと今更思い出す。

  • 仕事が忙しくて、少しくらいしんどくても気にしていられない状態だったのもあるが、

  • 俺が自己の体調管理に疎いところがあるせいか、

  • アイリは普段からよく俺の体のことを気にかけてくれていた。

タップで続きを読む

夢ストーリー設定

名前やアイコンを変更したい登場人物を選択してください。

主人公の妹 夢主

アイコンを変更

チャットの発言者名

苗字

名前

あだ名

夢ストーリー設定

アイコンの変更には、フォレストページ+へのログインが必要です。

ログインする

アカウントをお持ちでない場合