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ソウタに無謀な飲酒をさせないように、
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できるだけ、男子クラスメイトの気持ちも蔑ろにしないように、
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せっかくのみんなの楽しい雰囲気を壊さないように。
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理由はいくつかあるけれど、
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ちょっとだけ、無茶をしたかもしれない。
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お酒は飲めるけど、
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ロックのブランデー、しかも一気飲みを体験したのはもちろん今日が初めてで。
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ユヅキ
……、
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持っていたバッグと、
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途中から加わった手荷物の袋を心なしか死守するようにしながら、
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気を抜けばおぼつかない足取りになるのをなんとか平常に保ちつつ、帰り道を辿る。
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ユヅキ
(…これは完全に、二日酔いになりそうだ…)
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ふふ…と小さく笑う。
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結局、キザキさんからの連絡がないところを見ると、
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おそらく彼の体調も悪化はしていないのだろう。
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ユヅキ
(ちゃんと寝てるかな…)
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ようやく家に着き、ふらふらとダイニングに入ると、
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キッチンカウンターの奥から音がしてそちらに視線を向けた。
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ユヅキ
……
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気配の正体は、今夜、一人しかいない。
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ユヅキ
…こら。
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ユヅキ
寝てろって言ったのに。
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キザキ
——…
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幽霊でも見たかのように目を見張るキザキさんを一瞥すれば、
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酔いのせいもあってか言葉はストレートに滑り出る。
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ユヅキ
もう、なんで起きてるの。
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キザキ
…、
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ユヅキ
(…今の私、そんなに珍しいかな?)
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少し呆然としているキザキさんを観察しつつ、
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体調不良の人の前でアルコールの匂いをさせるのは不謹慎だと考えて、
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いつもより距離感には気を付けて立ち位置を探った。
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ユヅキ
ただいま。
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キザキ
おかえり…、
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私の二の句に、キョトンとした状態から抜け出したキザキさんはいつものように挨拶を打ち返して。
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今ベッドから起きている理由を、『喉が渇いたから…』と
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少し掠れた声で付け足した。
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ユヅキ
……
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ユヅキ
(出かける前に、飲み物を部屋に用意しておいてあげれば良かったな…)
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ユヅキ
…熱は?
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キザキ
あ、うん…、
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キザキ
だいぶ下がってきたよ。
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ユヅキ
良かった。
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ユヅキ
…他に具合が悪いところは?
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キザキ
ううん、ないよ、大丈夫。
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ユヅキ
……、
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ユヅキ
お父さんに借りた半纏、
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ユヅキ
こうしてじっくり見ると、結構似合ってますね。
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キザキ
…ありがと。
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キザキ
中わたがダウンだから、すごくあったかいよ。
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ユヅキ
それは良かったです…
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キザキ
同窓会、楽しかった?
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ユヅキ
ええまあ…、
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ユヅキ
みんなに会えて大満足でした。
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キザキ
…、そっか。
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物柔らかに微笑んだが、
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表情を少し曇らせた城崎さんは心配そうに続けた。
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