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俺はこの再会を祝って、
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今日はソウタと飲み明かしたいんだよっ。
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ユヅキ
……
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確かに、その気持ちも分からなくはない。
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もともとみんな仲の良かったクラスだったし、
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ソウタと彼は、学校だけでなく放課後もよく一緒に遊んでいた。
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そういえば、
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彼が中学受験をして私立の別の中学校に通うようになってからは疎遠になり寂しくなったともとも、
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ソウタから聞いたことがあった。
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ユヅキ
(…再会を祝って、か…)
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その久しぶりの再会に、水を差したくはない。
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ユヅキ
なるほどね、
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ユヅキ
そういう気持ちがあってのことか。
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精一杯ぶすっとしながらも、
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もう引けないところまで来てしまった…という感じも否めない彼に微笑みかけて、
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納得したように頷いて見せた。
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ユヅキ
分かった。
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…っしゃ!
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ユヅキ
じゃあさ、再会を祝して…、
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ユヅキ
コレ、私にくれる?
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ああ、いいぜ!
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…って、えっ!?
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ユヅキ
…、
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言葉の流れで了承したものの、すぐにギョッとなった彼の手から
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ブランデーのグラスをひょいと取り上げる。
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琥珀色の液体の中で、数少ない氷がカランと音を立てた。
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いや、それさ…、
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見たら分かると思うけど、ロックだし度数も高いし、
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おまえにはちょっと…、
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ユヅキ
優しいな、気にしてくれて。
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ユヅキ
さすがは元クラスメイト。
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いやあの…、ちょっと…、
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飲むのやめとけ、な?
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ユヅキ
え、なんで?
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なんでって…、
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やっぱソレ、俺が飲むわ。
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ユヅキ
えっと…、
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ユヅキ
一気飲み、だっけ?
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おまえ、人の話ちゃんと聞いてるか?!
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ユヅキ
それじゃ、再会を祝して…、
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っ、おい、ちょっと待てっ、…!
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ユヅキ
…ッ、―――
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彼がオロオロと狼狽えるその前で、
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たっぷり注がれているブランデーを一気に飲み干した。
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ユヅキ
っ、……、
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ユヅキ
ごちそうさま…、
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ユヅキ
なかなかおいしかったよ。
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…、おま…え、
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大丈夫か…?
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空になったグラスを私から恐る恐る受け取り、不安そうに気遣う彼に、
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穏やかな笑みを向けながらも目元を引き締める。
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ユヅキ
心配してくれてありがと、平気だよ。
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ユヅキ
でも…、
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ユヅキ
あまりこういった無茶飲みはこれからもしない方がいい。
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ユヅキ
一応医者をやってる私が言うんだから、少しくらい話を聞いおいても損はないと思うな。
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…、
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わ、分かった…
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ユヅキ
救急車のお世話になることなく、みんないい気分のまま楽しく過ごして、
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ユヅキ
次もまた元気に会いたいじゃん?
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……、
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そうだな…、
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確かにそうだ。
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ユヅキ
ね…、
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激昂することなく感服したように私の行動と文言を受け入れてくれた彼に向けてハイタッチを促すと、
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おう、
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少しだけ照れくさそうに笑って、手のひらを優しく叩き合ってくれた。
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ソウタ
大丈夫かよ、ユヅキっ、
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ソウタ
俺、チェイサー持ってくるわ!
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私の無茶な飲酒に焦った颯太が、よろける足元を何度も正しながら、
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ミネラルウォーターの入ったピッチャーを探し回る。
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ユヅキ
…、
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その姿が、なんだかとても微笑ましくて。
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ユヅキ
平気だよ、ソウタ…、
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ユヅキ
急ぐとほら、危ないって…
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静かに笑って。
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ダイニングソファーに、今度は自分が身を預けるようにしてペタリと腰を下ろした。
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