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フレンチレストランでのみんなとの再会は、予想していた以上に感慨深いもので。
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久しぶりに会えた喜びをクラスメイトたちとともに分かち合いながら、
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懐かしい笑顔に囲まれる賑やかな時間を過ごしていた。
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ユヅキ
……
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一息つこうと、
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壁際に設置してあるアンティーク調の木彫りが美しいダイニングソファーに腰を下ろしてすぐ、
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ソウタ
うおおっ、
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ソウタ
ユヅキだあああ〜〜っ!
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ソウタが勢いよく膝上になだれ込んで来た。
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ユヅキ
…っ、こら、ソウタ…、
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ユヅキ
…これは相当飲んでるな…。
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飴玉が溶けるようにテロテロになったソウタからは、
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過剰にお酒を摂取したのが見て取れる。
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ユヅキ
飲み過ぎだよ…
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ソウタ
へへへ〜〜、
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ソウタ
いっぱい飲んじゃったっ。
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ユヅキ
バカだな、
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ユヅキ
知らないぞ。
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ソウタ
もう飲めない、
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ソウタ
これ以上は、お酒入んない〜〜
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ユヅキ
…、
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ソウタが口を開くたびにモワッと広がるアルコールの匂いを吸い込んだだけでも酔いそうだ。
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ちょっぴり呆れながらも、そんなソウタの額をツンと人差し指で小突いた。
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ユヅキ
まったくもう…、
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ユヅキ
当たり前だよ、
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ユヅキ
それ以上飲んだら体にも悪い——…
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おい、ソウタっ、
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まだ飲み足りねーぞー。
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私の忠告を覆いつくすように大きな声量を撒き散らしながら、ゆらゆらと現れた男子クラスメイトに
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ソウタも私も揃って目を向ける。
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ユヅキ
……
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彼の右手には、少量の氷と琥珀色の飲み物が満杯に入ったロングカクテル用のグラス。
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左手には、その飲み物の正体を表す洋酒の洒落た瓶。
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見るからに、キツめのオンザロック。
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ソウタは私の膝からむくりと起き上がると、
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ダイニングソファーに体を大の字に投げ出して唇を尖らせた。
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ソウタ
さすがにもう飲めねえって〜。
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ダメだっ、
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コレを一気飲みするまではっ…、
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ユヅキ
……、
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悪酔いしているのか、無茶振りをする男子クラスメイトに内心で失笑する。
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多少呂律も回ってないから、彼も相当な量を飲酒しているのだろう。
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ソウタ
もういらねえって、
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ソウタ
まだ二次会もあんのにっ。
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一気飲みするまで次なんかねーぞっ。
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ソウタ
マジでいいって…、
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無理難題を吹っ掛けられて、ソウタはゆるゆると首を振りながらおもむろに立ち上がる。
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その際、無遠慮に胸元に押し付けられたグラスを静かに押し返した。
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ユヅキ
もうこれ以上は、さすがに飲まない方がいいな。
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颯太のその動作が合図となって、
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男子クラスメイトを見据えて苦笑混じりに制止すると、
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彼は不満の色で染まる顔をありありと晒して口端を歪めた。
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なんだよ、ユヅキっ、
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医者で偉いのか知らねーけど、
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女のくせに、男の付き合いにいちいち口出しすんなよっ。
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ソウタ
——おい、
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ソウタ
そんな言い方ねーだろ、
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ユヅキ
やめろ、ソウタ。
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酩酊しながらも途端に反論の狼煙を上げて、
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憤りで自己を塗り替えていくソウタの腕を慌てて掴む。
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ソウタ
でもさ、こいつ、
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ソウタ
なんか失礼じゃん…、
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ユヅキ
いいよ。
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ユヅキ
クラスメイトの言うことだ、気にしてないよ。
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立ち上がってソウタの肩を柔らかく叩き、落ち着かせてから壁際のソファーに再び座らせると
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男子クラスメイトに振り向いて軽く肩をすくめた。
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ユヅキ
久しぶりの再会なのに、
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ユヅキ
ちょっとくらい混ぜてくれたっていいじゃん。
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べ、別に…、
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おまえのこと、拒否ってるわけじゃねーけどさ…
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ユヅキ
それは嬉しいな。
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…、
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ユヅキ
…ね、
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ユヅキ
つまりは、どうしてもそれを飲めってこと?
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度数の高いアルコールで満たされたグラスを指差して訊ねると、
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ああ、そうだっ。
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彼はそれを前に掲げるようにして大きく頷いた。
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