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昨日は、ほとんど寝ていない。
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立て続けに搬送された急患に休む暇なく対応して、
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気付けば午前5時を回っていた。
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でも、疲れている気はしない。
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全ての患者さんの命を繋ぐことが出来た喜びが、胸内を占めているからだ。
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天職っていう言葉があるけれど。
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医師という仕事が、自分にとって天職だったらいいな…と、
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こっそり願ってしまう。
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もしもいつか、
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救うことができない命と向き合うことがあったなら、
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私はどうなってしまうのだろう。
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もしかしたらそれは、
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自分にとって特別な恐怖であり、
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耐え難い悲しみであるのかもしれない。
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ユヅキ
……
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そんなことをぼんやりと考えながら、
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ゆったりとした時間を過ごしていた、徹夜明けの昼下がり。
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ユヅキ
(…アメリカの大学にいたんだな…)
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少しだけ垣間見えたキザキさんの素性に、ふと思いを馳せる。
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すぐに辞めたと言ってたから、
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私とキョウヤが知り合った時期にはもう大学にはいなかっただろう。
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気まぐれで自主退学したわけではなく、何か理由があるみたいだった。
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ユヅキ
……
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気にしたって仕方ない。
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気にするだけ無駄だと思う。
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ユヅキ
…、
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気付けば、キザキさんのことばかり考えてるよね、自分。
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いやいや、そんなわけない、たまたまだよ。
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けど、たまたまにしては、
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頭の中での登場回数が多い気がする…。
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ユヅキ
…いや、気のせいだ、気のせい。
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…と。
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そんな感じで、ぐるぐると自問自答を繰り返しては、
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浮かぶ思考をことごとく打ち消してゆく日々が続いている、今日この頃。
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