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キザキ
僕ね、
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キザキ
ほんとはすごく寂しがり屋なんだよね。
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ユヅキ
……
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キザキ
だから、
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キザキ
ユヅキちゃんのこういった優しさって、すごく好き。
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ユヅキ
――…、
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ユヅキ
…そろそろ、寝ます。
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今ここで、
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いつものように反論する気には何故かなれなくて。
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視線を逸らしたまま静かに告げて、椅子から腰を上げた。
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キザキ
うん、そうだね。
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キザキ
今日はありがとう。
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ユヅキ
…あの、食器とか、そのままにしておいてくれていいですから。
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ユヅキ
明日の朝、私が片付けるので。
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キザキ
……ありがと。
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ユヅキ
食べ終わったら、なるべく早く休んでくださいね、
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ユヅキ
父から少しだけ聞いてます…、
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ユヅキ
キザキさんはもともと身体が弱いところがあるって。
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キザキ
……
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ユヅキ
遅くまでの仕事で疲れも溜まってるだろうし、
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ユヅキ
睡眠不足って良くないですから。
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キザキ
……
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ユヅキ
……
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キザキ
……
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ユヅキ
……、
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ユヅキ
…何か質問でも?
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黙ったままじっと見つめてくる視線にたじろいで、ほんの少し訝しげに問いかけてみる。
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キザキ
…ちょっと、思っただけ。
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ユヅキ
…なにをです?
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キザキ
知りたい?
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ユヅキ
……いえ、結構です。
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ユヅキ
どうせすぐには教えてくれないと思うので。
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キザキ
これは今すぐに教えてあげてもいいよ。
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ユヅキ
……
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ユヅキ
…じゃあ、なんですか?
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ユヅキ
一応聞きますよ。
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尊大さを漂わせてしまいながら、続くキザキさんの言葉を待つ。
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キザキ
いつか…、
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ユヅキ
…はい、
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キザキ
いつか、
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キザキ
こんなに優しいユヅキちゃんのこと…、
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キザキ
絶対に独り占めしようと思った。
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ユヅキ
…っ、
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キザキ
……
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ユヅキ
…、
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キザキ
赤くなってる、かわいいなあ。
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ユヅキ
かっ…、かわいくないですっ、
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ユヅキ
それじゃ、寝ますっ!
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キザキ
うん、
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キザキ
おやすみ、ユヅキちゃん。
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ユヅキ
お、おやすみなさい…、
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心臓がうるさい。
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赤らみを増してゆく自分の頬にも苛立ってくる。
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キザキさんはただなんとなくで言っただけかもしれないのに…、
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うん、きっとそうに違いない。
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ユヅキ
…、
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つまりは、
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耐性がない自分がとても情けない。
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いろんな思考が頭の中を右往左往する中で。
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ユヅキ
(もうっ…、)
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ユヅキ
(バカじゃないのっ…)
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誰に向けた、何についての悪態なのか、
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自分でもはっきりしないまま。
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私は足早に、リビングを後にしたのだった。
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Vol. 4 END
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