Vol. 4 意地っ張りな夜 ・1

  • 冬の夜、

  • 帰り着いた家に明かりが灯っていなかったら、

  • なんとなく、嫌かなと思っただけ。

  • 自分だったらやっぱりちょっと、寂しいから。

  • ユヅキ

    ……

  • 休日の夜、私は縫合の練習に時間を費やしていた。

  • 壁時計の秒針の音だけがBGMになっている静寂の中で、

  • 皮膚縫合トレーナーと向き合う時間が過ぎていく。

  • 救命医療は、時間との闘いでもあるために

  • 普段から的確な手術をこなした上で、素早い縫合技術が求められる。

  • 今までに幾つもの手術をこなしているとはいえ、

  • 手指が、中材である指針器などに未だ慣れていないのではないかと

  • 当惑と錯覚に陥ることがあって。

  • そんなときは、いつも一人で黙々とその不安を取り除く。

  • ユヅキ

    ……、

  • 手術を受ける患者さんの負担を少しでも失くしたい。

  • 救命病棟から一般病棟へと移る患者さんの笑顔を思い返せば、

  • 縫合の練習が何時間続いても疲れ知らずで気合が入った。

  • ユヅキ

    …ふぅ、

  • 深夜2時。

  • キザキさんは今夜、仕事で帰りが遅くなるらしいと父から聞いていた。

  • 事務所が火事で全焼していても、手元に残った依頼書だけは活きているために

  • 万全の砦がなくても仕事に専念しなければならないからだ。

  • 探偵という仕事がいったいどういうものなのか知る由もないけど、

  • 昼夜を問わず労力を消耗するその職務には、それなりの苦労も伴うだろう。

  • ユヅキ

    ……

  • まだ帰らないキザキさんの姿を思い浮かべれば、

  • 寒空の下、体調など崩さないだろうかと少しは気になる。

  • 医者だから、一応は心配する。

  • ユヅキ

    (…そう、医者だからね)

  • ユヅキ

    ……、

  • そう思った途端にふと巡る、キザキさんのあの笑顔にちょっぴり落ち着かなくなる。

  • ユヅキ

    ……

  • ああいった人は周囲にはいなかったからきっと免疫がないんだと

  • 自分に言い聞かせながらも。

  • 未経験で、

  • 不可思議な感覚が心に燻りを見せる日々が続いている、今日この頃。

タップで続きを読む

夢ストーリー設定

名前やアイコンを変更したい登場人物を選択してください。

主人公 夢主

アイコンを変更

チャットの発言者名

苗字

名前

あだ名

夢ストーリー設定

アイコンの変更には、フォレストページ+へのログインが必要です。

ログインする

アカウントをお持ちでない場合