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キザキ
…ほんとは、
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キザキ
<嫌だ>って、声を大にして言いたいはずなのに。
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ユヅキ
えっ…?
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突然綴られた言葉に、思わず目を丸くする。
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キザキ
ユヅキちゃん、僕との同居生活を嫌だって思った自分を責めたでしょ?
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ユヅキ
べ、別に…
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キザキ
ううん、
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キザキ
自分のことを諌めたでしょ?
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ユヅキ
そんなことは…、
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ユヅキ
思い過ごし、です。
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辿々しい否定に、キザキさんはお見通しといったようにクスクスと笑った。
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キザキ
すぐに出て行かなくていいって言ってくれたのは、
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キザキ
どう考えてもキミの優しさだから。
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ユヅキ
それ、まだ言いますか。
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キザキ
うん。
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キザキ
ちなみにもう一つ付け加えると、
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キザキ
思ってることが顔に出やすいから、
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キザキ
ユヅキちゃんは嘘が付けない子だね。
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ユヅキ
―――
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ユヅキ
(ほんと直さなきゃ、すぐに顔に出ること…)
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自分の未熟さに改めて打ちのめされるようで、
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キザキさんの視界から逃れるようにしてそっぽを向いた。
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キザキ
それにしても、
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キザキ
まさかソウタがユヅキちゃんの恋人だったとはね。
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ユヅキ
…いきなり何を言ってるんですか。
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場の空気を変えようと試みたのかもしれないけど、
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またこの人は突拍子もない発言をする。
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ユヅキ
恋人じゃないです。
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ユヅキ
ソウタは、ただの幼馴染なので。
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キザキ
…違うんだ?
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ユヅキ
はい、違います。
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ユヅキ
観察力とか鋭いのに、見抜けませんでしたか?
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少しばかり勝ち誇った気持ちになる自分の稚拙さに笑えてしまいながらも、
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なんとなく気分がいい。
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キザキ
そうだね、ちょっとだけ勘が鈍ってしまってたかも…、
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キザキ
恋人じゃないんだね。
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ユヅキ
幼馴染です。
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ソウタ
ユヅキってば、めっちゃ否定するじゃんっ。
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突然の横やり。
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私の毅然とした対応を見て、
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どこか満足げに口端を持ち上げたキザキさんとは対照的にありありと不満を滲ませたのは、
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ソウタ
もうちょっとなんかさあ…、
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ソウタ
言い方あるっつうか。
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隣でオレンジジュースを飲み終えたソウタだった。
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