18話:教えたくないこと

 少しだけ、時間が空いた。
 それは感覚的なモノではなく、おおよそ一か月の時は経っていた。決して何かがあったわけではなく、単純に夏が過ぎたのだ。だから、わたしが再び図書室に足を運ぶのにはある程度の時間が必要だった。わたしが来なかったその間、目的の人物は果たして何をしていたのだろうか? そんなことを考えてしまうくらい、この時のわたしはソワソワしていた。
 もうすっかりと、気温は落ち着き始めている。いや、気温は相変わらずではあるものの、夏の煩わしい暑さというほどでもない。だが、図書室に入った途端今までのこもっていた空気は一変、機械的な風に晒された。
 ここにきた理由というのが本目的ではないというのが、なんとも形容しがたい行動だ。だからこそ厄介だと言えるだろう。

(……宇栄原先輩、やっぱりいないよね)

 また会えるだろうかと思いながらも、見つけられなかったことでどこか安堵してしまう。

(会ったからって、別にどうにもならないけど……)

 そう、そうなのだ。先輩に会ったからといって何か話があるわけでもなく、ならどうして探しに来たのかと聞かれれば答えに困る。さっきから矛盾ばっかりで、自分でも嫌気がさした。
 折角来たのだから、少し本でも見てから帰ろうか。一応そういう体で、羅列された本棚へと向かう。身体に当たる無機質な風は、わたしを歓迎してはいないように感じた。
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